「ChatGPTに自社の商品やサービスを紹介してもらえたら、お客さんは増えるのだろうか」
AIOやAEOという言葉を聞いて、そんな期待を持った方もいると思います。一方で、実際にどれくらいの人がAIの回答からサイトを訪れ、購入まで進んでいるのかは、まだイメージしにくいかもしれません。
米国では、その行動を捉える調査結果が出てきています。今回は、2026年10月15日時点で確認できる公開資料から、AIとサイト訪問・購入の関係を見ていきます。
この記事でわかること
- 米国小売で、AI経由の流入と購入率にどんな変化が出ているか
- AIで推薦された後、どの経路でサイトを訪れているか
- ChatGPT広告の提供状況と、広告主の集客事例
- 海外のデータを参考に、自社で何を確認すればよいか
米国小売のAI経由の流入と購入率
Adobeが2026年9月28日に公開した米国の年末商戦予測資料には、直近の実績も掲載されています。
Adobe Analyticsを使った米国小売サイトの分析では、次の結果が報告されました。
| 指標 | 対象時期・比較条件 | 結果 |
|---|---|---|
| AI経由の流入 | 2026年8月と2025年8月の比較 | 前年同月比127%増 |
| 購入転換率 | 2026年8月のAI経由と非AI経由の訪問を比較 | AI経由が48%高い |
流入の127%増は、前年同月の約2.27倍に当たります。購入転換率の「48%高い」は相対的な差で、訪問者の48%が購入したという意味ではありません。資料全体の分析基盤は、米国小売サイトへの1兆回超の訪問データなどと説明されています。
この結果からは、調査対象の米国小売で、AIが実際の訪問や購入につながる経路になっていることが読み取れます。
購入率の差について
ただし、購入率の差には、訪問前の検討状況や商品構成なども関わり得ます。この数字だけで、特定のAIO施策の効果を判断することはできません。
米国の買い物でのAI利用状況
サイトへ来る前の行動にも変化が見られます。
Similarwebが2026年10月14日に公開した分析によると、米国のデスクトップにおける買い物行動のうち、取引サイトへの訪問前にAIを利用した割合は、2024年7月の4.5%から、2026年6月の11.4%へ増加しました。そのAIを含む行動の89%では、従来の検索も利用されていました。(出典:Similarweb「What Happens After AI Recommends Your Brand?」)
例えば、商品選びの相談をAIにした後、気になったブランドを検索し、公式サイトで価格や条件を確認する。こうした複数のサービスを行き来する過程を考えると、サイトへの入口だけでは分からない接点にも目を向ける必要がありそうです。
AIの推薦後にサイトを訪れた割合
同記事では、ChatGPTがブランドを推薦した後の行動も紹介されています。
こちらの調査対象は、2025年7〜12月の米国デスクトップ利用者。金融・旅行・美容のブランドを対象に、質問にブランド名を含めず、直前4週間にそのサイトを訪れていない利用者を選び、推薦後の7日間を追跡しています。
例えばCapital Oneを推薦された利用者では、14.2%が同社サイトを訪問し、競合のAmerican Expressを訪問した割合は3.8%でした。また、この調査で推薦後に生じた訪問の55.9%は、検索経由でした。(出典:Similarweb「What Happens After AI Recommends Your Brand?」)
限定された対象での観測であり、推薦が訪問を増やしたという因果関係まで確定する結果ではありません。それでも、AIでの紹介と、その後のサイト訪問を一緒に見る材料になります。
アクセス解析に「検索から来た」と記録されていても、その前にAIとの会話があった可能性があります。一方、指名検索や直接流入が増えたからといって、それをすべてAIの影響と考えることもできません。お客様が何をきっかけに自社を知ったのかは、問い合わせ時の聞き取りなども合わせて確かめたいところです。
AI経由の流入が全体に占める割合
ここまでの数字を見ると、AI経由の集客が急速に主役になっているようにも感じられます。ただ、現在の規模にも目を向ける必要があります。
2024年から2026年初頭の動向を扱ったChartbeatのレポートでは、同社の計測ネットワークにおけるAIチャットボット経由のページビューは、全体の1%未満と報告されています。ニュース・メディアを中心とした分析で、米国小売のAdobe調査とは対象も時期も異なります。(出典:Chartbeat「Navigating the New Traffic Landscape」)
流入が少ない段階では、増加率が大きくても、集客全体に占める割合は小さいことがあります。実務では「何%増えたか」とともに、訪問件数や問い合わせ・購入の件数も見たいところです。
自社が小売なのか、情報を届けるメディアなのか、法人向けのサービスなのかによっても、注目する成果は変わります。
ChatGPT広告の動向と集客事例
AIとの会話をきっかけに企業を知る機会として、広告の動きも出ています。OpenAIは2026年2月9日、米国のFree・Goプランの対象ユーザー向けにChatGPT広告のテストを開始しました。8月11日の公式更新では、日本を含む国々で広告の提供を開始したと発表しています。(出典:OpenAI「Testing ads in ChatGPT」)
OpenAIは、広告がChatGPTの回答内容に影響せず、スポンサー表示によって回答と区別されると説明しています。回答の中で自然に紹介されることと、広告として掲載されることは、仕組みが異なります。 広告が表示されたことを、AIがその企業を推薦したことと同じには扱えません。(出典:OpenAI Help Center「Ads in ChatGPT」)
広告から実際にサイトへ来る人はいるのでしょうか。OpenAIが2026年9月1日に公開した、リアルタイム通信APIなどを提供するStreamの広告主事例では、次の結果が紹介されています。
| 確認項目 | 公開されている内容 |
|---|---|
| テスト期間 | 2026年6月5日〜8月5日 |
| 広告費 | 比較する各テスト群で約1万米ドル |
| サイト訪問につながった割合 | ChatGPT広告のクリックの70%超がWebサイトのセッションにつながった |
広告事例の対象と条件
この70%超は、広告クリックを基準にしたセッションへの到達割合です。広告を見た人全体の訪問率や、購入率を示す数字ではありません。また、OpenAIが掲載した1社の内部データに基づく事例であり、配信地域の内訳は公開ページに記載されていません。日本の企業でも同じ成果が出ると考えることはできません。
広告の形式も変わりつつあります。OpenAIは2026年10月5日、画像生成中に表示する新しいビジュアル広告形式を発表しました。同月中に米国の一部広告主とFree・Goプランのユーザーを対象にテストを始める予定としており、日本で利用できると発表されたものではありません。(出典:OpenAI「Building advertising for the way people use AI」)
こうした動きからは、AIとの会話が、企業と顧客が出会う広告の場としても整備されていることが分かります。集客を見るときは、回答での紹介、広告のクリック、サイトでの行動をそれぞれ分け、どの経路で何が起きたかを確かめたいところです。
自社の流入と紹介状況を確認する
今回の米国の数字から、日本でも同じ速度でAI経由の流入が増え、同じ購入率になるとは言えません。 利用するサービス、言語、商習慣、顧客層が違い、AIのモデルや検索機能も変わり続けています。
それでも、顧客が自社の商品やサービスを選ぶ過程に、AIとの会話が含まれていないかを確認する価値はありそうです。
最初の取り組みとしては、次のような確認が考えられます。
- 自社サイトに、識別できるAIサービス経由の訪問があるか
- 商品やサービスを探すAIの回答で、自社や競合がどう紹介されているか
- 問い合わせや商談で、AIを使って調べたという話が出ていないか
GA4・Search Consoleで確認するには
GA4やSearch Consoleで何を確認できるかは、前回の記事GA4とSearch ConsoleでAI検索の流入を理解する【2026年版】で紹介しています。自社の流入状況を確かめる際の参考にしてください。
AIの回答を確認するときは、利用したサービス、質問文、確認日を残しておくと、後から変化を見返せます。その回答を見た実際の顧客数や、集客効果まで測れたわけではない点も意識しておきます。
こうした確認を通じて、自社の顧客に関係する変化かどうかを判断し、取り組む範囲を決めていく。AIO対策を考える入口として、まずはここから始められます。
まとめ
今回取り上げた調査は、地域・業種・時期が限られています。その範囲では、AI経由の訪問増加や、AIでの推薦後にサイトを訪れる行動が報告されています。
まとめ
- 海外の調査では、AI経由の流入や推薦後のサイト訪問が観測されている
- 調査地域・業種・時期を確認し、自社にも当てはまるかを確かめる
- 流入、AIの回答での紹介、広告経由の成果を分けて確認する
自社の集客でも同じことが起きているのか。それを確かめるために、アクセスの数字に加えて、お客様が自社を知るまでの過程や、AIでの紹介状況にも目を向けてみる。
AI検索の仕組みが変わり続ける今、自社の現在地を知っておくことは、次の変化に対応するための準備になるのではないでしょうか。
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- Adobe:2026 U.S. Holiday Forecast(2026年9月28日公開、米国小売の2026年8月実績は資料20〜21ページ)
- Similarweb:What Happens After AI Recommends Your Brand?(2026年10月14日公開、米国デスクトップの買い物行動・ブランド推薦後の訪問調査)
- Chartbeat:Navigating the New Traffic Landscape(2024年から2026年初頭の動向、AI経由ページビューの規模は資料5ページ)
- OpenAI:Testing ads in ChatGPT(2026年2月9日の米国テスト開始、8月11日更新で日本を含む広告展開を発表)
- OpenAI Help Center:Ads in ChatGPT(広告と回答の区別、2026年10月15日確認)
- OpenAI:Stream turns developer questions into qualified pipeline(2026年9月1日公開、6月5日〜8月5日の広告主の社内データ)
- OpenAI:Building advertising for the way people use AI(2026年10月5日公開、新しい広告形式の米国テスト予定)